戦国女士blog

戦国大好きな歴女子が、歴史探索をしてきた記事を載せてます(・∀・)

大桑城のむかし話

山県郡の大桑に金鶏山という山がある、昔この板垣に大桑城というお城が建っていた

ここに美濃国守であった土岐頼芸が逃げ込んできた
斎藤道三に稲葉の城を追われたからである
頼芸を一気に滅ぼしてしまおうと道三の軍勢は長良川を渡り金鶏山の南の麓にある栢野が原まで押し寄せてきた
下から見上げると大桑城はいかにも小さく見すぼらしく思えた
勢いにのる道三の軍の前には、こんな城はひとたまりもないようだった
そこで道三の軍は「わあーっ!」と時の声をあげると山の上の城めがけて攻めかかった、ところがそう簡単な事ではなかった
頭上から雨のように矢を射掛けられ大石や大木を落とされ道三の軍は沢山の死者やけが人を出して麓まで追い落とされてしまった
甘く見縊っていたのが思わぬ結果になってしまったので道三勢は益々カーッ!となって再び山に取り付いて攻めたてた
ところが今度も同じ事、道三は大損害を被って引き下がらなければならなかった
そこで道三の軍は考えて一隊が金鶏山の北麓にある青波という部落の方へ周り裏の搦手から攻めてみようとしたのだ
だが、この計画も駄目だった
攻めかかった道三勢は正面からと同じように散々な目に合わされ退くしかなかった
どうしても上手くいかなくてイライラした道三の軍勢の1人がこの頃耳寄りな話を聞いてきた
それは青波で餅を商っているおばばが、この山の辺りの事に詳しいという事であった
早速おばばが呼び出された
「どうじゃ、おばば何とかこの城を落としたいのじゃが良い方法はないか?」
するとおばばが言った
「火道を作って攻めるがええ」
「何?火道じゃと?」
おばばの話を聞いた道三の軍勢はこれは良い方法だと手を打って喜んだ
それから道三勢は変な仕事を始めた 
山の麓から城の下に向かってニ、三間幅に草を刈り木を切り倒していったのである
日が経って切り伏せた草や木はすっかり枯れ茶色の帯が麓から城の下までずっと続いた
火は勢いよく燃え上がり風を巻き起こしごうごうと城へ押し寄せた
城は炎に包まれた
そこへ「わあー!」とばかりに攻め上がって来た道三の軍勢に土岐勢はひとたまりもなく崩れ去った
頼芸はわずか七人の家来に守られながら北国へと逃げて行った
こうして道三の軍を悩ませた大桑城は落ちた
この後青波のおばばが話した計略が元でこうなったと伝わり大桑城の村人達は頼芸ひいきしていたので、この話を聞くと
「俺達の殿様を滅ぼした奴だ」と言って、おばばを憎んだ
おばばだけでなく青波の村の人達皆に反感を持つようになった
青波の者とは嫁取り婿入りしないという話が大桑に残っていたのも大桑城落城の事が元になっていたのだろう


嫁取り婿入りの話は本当で、近年までそうだったそうな

道三勢が火を放ち城を攻めた場所を火焚き口と言う

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