戦国女士blog

戦国大好きな歴女子が、歴史探索をしてきた記事を載せてます(・∀・)

関ヶ原合戦後 宇喜多秀家 逃走劇

場所は岐阜揖斐です
関ヶ原から落ち延びた宇喜多秀家は ある家にて匿われたのち 恩人ともなるその人の助けで生き延びる事が出来ました

でわ お話に入ります
「いびのむかし話」の本の中には こんな物語があります
【矢野五右衛門の義心】
慶長五5年 9月15日 関ヶ原の合戦に敗れた西軍の将士は 土砂降りの雨の中を ちりぢりになって逃げましたが その一部は伊吹山から山越えに 粕川谷へ逃げ込んできました
人狩りの土民から離れて 白樫村の郷士 矢野五右衛門は 名ある武士の首をあげて 手柄を立てようと 家の者共と共に朝から粕川谷へ分け入りました
伊吹山麓の山坂を登って しばらく進む内に とある岩かげに 主従の落人が 弱り切った姿でうずくまっているのが目に入りました
五右衛門は 槍を構えて近寄りましたが よく見ると 主人らしい武士はエボシをつけ 綾の小袖を着て 錦の小袴を履いた 只者と見えぬ武将の様子
五右衛門は志ある者だったので 哀れをもよおし「身分のあるお方とお見受け申す いずれへ落ちさせたもうか 事によっては お味方申し上げよう」と、声をかけました
かたえの武士は頭を下げて「情けあるお言葉 かたじけない このお方は西軍の大将で 備前中納言秀家卿です 今度の合戦に敗れて ここまで落ち延びてきましたが この先どこへ行くあてもなく困りはてています 何とか匿ってはもらえぬだろうか」と、心を込めていいました
五右衛門は 郷士とはいえ 魂は武士(たとえ打ち取ったところで百年の栄もあるものでなし よし ここはひとつ命にかけて助けてみよう)と決心しました
そこで秀家を背負わせて 険しい坂道を ようやく麓の中山の里まで降りてきました 五右衛門は一軒の家であわの飯を貰って一行に食べさせました
ようやく人心地ついた一行は休む間も無く再び下山しました
途中何人かの落人狩りの村人の群に出会いましたが「これは 我らが親類じゃ」と言い逃れて やっとの思いでその日の夕方白樫村の我が家にたどり着きました
五右衛門は 女房に一部始終を話し 家の者には決して他言してはならぬと固く口止めをして 秀家主従を屋敷の内の納屋に匿う事にしました
こうして秋も過ぎ西の山に雪がやってきました
徳川方の落人狩りの調べは厳しく 何度か取り調べの武士が 五右衛門の家を調べに来ましたが そのたびに秀家を床下のいも穴に隠して危機をまぬがれました
暮れに近い冬の日 秀家は五右衛門に 大阪にいる自分の家族の様子を探ってほしいと頼みました
そこで五右衛門は大阪へ行って 秀家が住んでた備前屋敷をそれとなく探ってみると屋敷は加賀前田家にお預けとなり 奥方も子供も無事で屋敷に住んでる事がわかりました
秀家は 「のう五右衛門殿 この上の頼みで申し訳ないが是非大阪へ参り 最後の別れがしたい 忍び行く手立てはあるまいか?」と涙を流しての頼みに五右衛門は 「よくわかりました ただ大阪はもちろん 道中も警戒が厳しいので年が明けましたら早々に出発いたしましょう」と、決意を顔に表して答えました
「これは太閤殿下から頂いた御朱印状である これをそなたに預けるので大切にして 子孫に伝えてほしい そなたが今日まで尽くしてくれた恩は 秀家死ぬまで忘れないであろう」と、心から礼をのべました
五右衛門は 道中の危険を心配して一計を案じました
まず秀家を重病人に仕立て ボロを着せて身をやつし 戸板を敷いた あんだ に乗せました
これを啞の下男と 甥の九蔵にかつがせ 五右衛門が付き添います
家来の内の一人は先に主君を救おうとして徳川方に名乗りでましたが 残りの一人が五右衛門達と行を共にしました
こうして重病人を運ぶ一行は夜道を大阪へと急ぎました
道中は用心に用心を兼ねて かろうじて大阪に着きました
早速九蔵を備前屋敷へ走らせ奥方に急を知らせ 夜になるのを待って 戸板に乗せた病人を屋敷の内へ運び入れました
秀家の喜びは勿論 奥方や家人達も ただ嬉し涙にくれて泣き伏しました
奥方は 五右衛門らに心からお礼をのべ 黄金三十枚と衣服三重ねを渡して 今までの苦労にむくいました
三人は二日間休養を取った後 白樫村へ帰りました
秀家は その後薩摩へ逃れましたが 慶長十一年八月 伊豆の八丈島流罪となり 島で八十二歳の生涯を終えました
[いびがわ むかし話より]

宇喜多氏が現在まで血筋を残せているのは矢野五右衛門の努力による貢献が大きいですね

現在この石碑は矢野五右衛門の子孫である矢野さんのお宅の庭にあります

 

読んで頂きまして有難う御座います😊

 

2018年7月撮影

 

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f:id:kaori3211:20200206075457j:image矢野さん宅にある秀家の碑
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