場所は滋賀県古橋です
前回の話の続きである
古橋には三成が隠れていたと言われるオトチの岩窟がある これは有名な話だ
三成を匿った谷口町の石田さんの屋敷跡から北に更に向かうと古橋がある その古橋は三成の母親の生まれ故郷だ
古橋には三成に関する伝承が色々残っている 地元に住む谷口實さんに話しを聞く事にした 突撃なのでアポなんて取っていないが それでも快く話を受けてくださいました
谷口さんは郷土史家で代々続いた庄屋の家である
三成の事は 子供の頃に祖父からよく聞かされてて 祖父は法華寺三珠院から嫁をもらっていたそうだ 何度も法華寺には祖父母と足を運んでいたのだそう
谷口さんの話では三成が秀吉に出会ったのが15歳の頃で 三献の茶の逸話が有るのは大原観音寺というのが通説だが 本当は法華寺だと言いました 確かに観音寺は石田町から近い 多分幼い頃はそこに預けられていたのでしょう でも 元亀元年に姉川の戦いが起こる その頃三成は10歳 そして小谷城が落ちるのが3年後です 観音寺は横山城の真下だから秀吉に会った頃は法華寺で学んでいたと考える方が自然ですよ。と
確かに京極家に仕え 後に浅井家に臣従したという石田家が敵に落ちた横山城の麓に三成を預けるのは不自然だ 明確な事はわからないが…
さて 本題に入る 三成は再起を図るつもりで法華寺に向かったのだと言われ 東軍の敵が居ない事を確かめた上で法華寺に辿りついた
住職は風の便りで西軍が敗れた事を知っていたので三成が現れた時は驚かれたそう 法華寺に追っ手が迫ってくるのは時間の問題 そこで住職は与二郎という村の農民に三成を匿うように頼んだ 与二郎は法華寺の庭番で三成とは幼馴染だったのだそう
住職の頼みを聞いて大蛇ケ谷の岩窟（オトチの岩窟）に三成を匿う ですが三成は腹を痛めていたからあの岩窟で長く過ごす事はなかった 隠れていたとしても一晩二晩でしょう
そこで与二郎は三成を自分の家に連れ帰り屋根裏のツシに隠し ニラ粥を食べさせて看病したというのだ
そうした間にも追っ手は迫り とうとう三成の居場所まで来ました
三成は与二郎に言います「私を差し出しなさいこれ以上迷惑はかけれない」と、与二郎は言います「ここまで来て何を申す 大阪まで行き再起を図りなさい」 与二郎の言葉に三成は頷きました
与二郎は三成をカマスの中に入れ それを背負って家から逃げます 家から逃れる時 家の西にある高い石垣を飛び降りたという 私の目から石垣を見ても とても三成を背負って飛ぶのは危険である 結構高い！なので飛び降りるかの如く降りたのであろう
古橋から西へ向かうと高時川があるその辺りを下川原という 橋を渡って木之本へ抜ける道を辿ると柴谷峠に出る
その辺りで三成は捕まったようです 与二郎がカマスを背負って歩いているところを 田中吉政の家臣に見つけられました 追っ手に何処へ行くのかと聞かれて与二郎は「木之本の市場へ芋を持って行く」と答えました ところが怪しんだ追っ手がカマスを槍で突くと 三成がカマスの中で思わず「ウッ」と声をあげてしまいました こうして三成は捕まってしまいます…三成逃走劇の最後である
ここまでが谷口さんが子供の頃から聞かされてきた言い伝えです
谷口さんの家の横には竜泉寺があり そこは法華寺の里寺である 今は無住職で谷口さんが管理している 竜泉寺の亡くなったご住職が法華寺の過去帳を持っていた為 その過去帳を谷口さんがアイロンがけしてコピーしたそうで その写しを見せていただきました そこには三成 そして三成の父親 兄の名と亡くなった日にちが書いてありました 母親の名前もあり 母親のお墓も法華寺にありました
今は己高閣に安置されてます
古橋に居る谷口さんの知り合いの森さん宅には三成がその時 我が身最後かもと託した持念仏があるそう
三成が古橋で修行していた事に関する資料から
『近江国輿地志略』
〈法華寺〉
古橋村民家より八町奥の山にあり 寺中六箇寺あり 真言宗 石田治部少輔三成幼少の時 手跡を此寺の三珠院に習ふといふ
『続武将感状記』
石田治部少輔三成は幼少佐吉
佐吉を近郷 真言宗（法華寺）の児小姓とす 秀吉公 此寺に参詣 佐吉が容貌起居の他に勝れたるに依て住持に請ふて近習の臣とす
まだ話足りませんでしたが 次回は三成の逃走経路を案内してもらう予定です
長々となりましたが読んでいただきましてありがとうございます😊
与二郎がカマスに三成を入れ背負って飛び降りた石垣です
与二郎の屋敷跡地
竜泉寺
谷口さんの事務所にて過去帳を見せてもらいました。
お話を聞かせてくれた谷口さん
